医師国家試験 第114回 問195
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66歳の男性。胸背部痛と左上下肢の筋力低下のため救急車で搬入された。 現病歴 : 本日午前11時、デスクワーク中に本棚上段から書類を取ろうと手を伸 ばしたところ、激烈な胸背部痛が突然出現した。その後すぐに左片麻痺が出現し、 さらに重苦しい胸痛と冷汗が出現したため、発症から30分後に救急車を要請した。 既往歴 : 2年前から高血圧症で通院治療中。 生活歴 : 妻と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。 家族歴 : 父親は脳出血のため86歳で死亡。母は胃癌のため88歳で死亡。 現 症 : 意識は清明。身長162cm、体重80kg。血圧78/62mmHgで明らかな 左右差を認めない。脈拍108/分(微弱 、整。呼吸数18/分。SpO 99%(roomair 。 頸静脈の怒張を認める。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音はI音II音とも減弱して おり、胸骨左縁第3肋間を最強とするII/VIの拡張期灌水様雑音を認める。呼吸音 に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左上下肢に不全片麻 痺を認め、Babinski徴候は陽性である。 検査所見 : 心電図は、心拍数108/分の洞調律で、肢誘導および胸部誘導ともに 低電位で、II、III、aVfにST上昇を認めた。 ポータブル撮影機による仰臥位の胸部エックス線写真(別冊No. 16A 及び6か月前 に撮影された立位の胸部エックス線写真(別冊No. 16B を別に示す。胸部エックス線 写真を見比べながら、研修医が指導医に所見や解釈を報告した。 別 冊 No. 16 A、B この時点で可能性が低い疾患はどれか。
正解と解説
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肺血栓塞栓症
突然の激烈な胸背部痛に片麻痺、拡張期灌水様雑音(大動脈弁逆流)、頸静脈怒張と低血圧、心電図の低電位を伴う病像は、Stanford A型大動脈解離による分枝閉塞と心タンポナーデを強く示唆します。ST上昇があるため急性冠症候群も鑑別に残ります。一方、肺血栓塞栓症であれば低酸素血症を呈するはずですが、SpO2は室内気で99%と保たれており可能性は低いといえます。