司法書士試験 (多肢択一式) 2024年度 午前 第24問
24 / 70
刑法における違法性阻却事由に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に 照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。 ア 他人に対し権利を有する者がその権利を実行する行為は、その権利の範囲内であ り、又はその方法が社会通念上一般に許容されるものと認められる程度を超えない場 合には、違法の問題を生ずることはない。 イ 行為者が、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利 用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、侵害の急迫性 の要件を充たさず、正当防衛は成立し得ない。 ウ 急迫不正の侵害に対し自己又は他人の権利を防衛するためにした行為と認められる 限り、その行為は、同時に侵害者に対する攻撃的な意思に出たものであっても、正当 防衛が成立し得る。 エ 過失による事故であるかのように装い保険金を騙し取る目的をもって、被害者の承 諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合に は、被害者の承諾が保険金を騙し取るという目的に利用するために得られたもので あっても、その承諾が真意に基づく以上、当該傷害行為の違法性は阻却される。 オ いわゆる喧嘩闘争については、闘争のある瞬間においては闘争者の一方がもっぱら 防御に終始し、正当防衛を行う観を呈することがあっても、闘争の全般からみて防衛 行為とみることはできず、正当防衛は成立し得ない。
正解と解説
表示する
イウ
イは、単に予期された侵害を避けなかったにとどまらず、その機会を利用して積極的に加害する意思で侵害に臨んだときは侵害の急迫性が失われ正当防衛は成立しないとする判例の趣旨に沿う。ウは、防衛の意思と攻撃的な意思が併存していても防衛の意思は否定されず正当防衛が成立し得るとする判例のとおりである。アは権利の範囲内であることとその方法が社会通念上一般に許容される程度を超えないこととの双方を満たす必要があり、エの保険金を詐取する目的に利用するために得られた承諾は違法性を阻却せず、オも闘争の全般からみて正当防衛が成立する余地は否定されない。