一般問題
医師国家試験 第110回 問372
372 / 500
40歳の男性。仕事がうまくできなくなったことを主訴に妻とともに来院した。 1年前、夜間にロードバイクで走行中に転倒し、電柱で頭部を強打して救急搬送さ れて入院した。そのときの意識レベルはJCSIII-100。左鎖骨骨折がみられ、頭部 CTで両側前頭葉の挫傷と脳梁、基底核の点状出血とを認めた。翌日夕方には会話 が可能な状態にまで回復したが、その後約1週間の健忘を残した。鎖骨骨折の経過 は良好で運動障害を残すことなく1か月後に退院した。しかし、妻によると入院中 からめまいを訴えることが多く、不機嫌で人が変わったようになっていたという。 めまいは徐々に軽快し、退院5か月後に職場に復帰したが、単純ミスが目立ち、注 意されると激昂する。注意散漫で指示の理解も悪く、上司の勧めもあって受診し た。患者自身は「困ることはない。仕事もまじめにやっている」と述べる。疎通性は 比較的保たれているが、長い質問は十分理解できない。神経学的所見と血液生化学 所見とに異常を認めない。頭部CTでは両側側脳室の軽度拡大が見られた。 この患者の心理・精神機能評価に有用な検査はどれか。2つ選べ。
正解と解説
表示する
正解 d, e
Wechsler成人知能検査〈WAIS-III〉 / 前頭葉機能検査1Frontal Assessment Battery〈FAB〉2
受傷時の重度意識障害と両側前頭葉挫傷、脳梁・基底核の点状出血という画像所見から、びまん性軸索損傷を含む外傷後の高次脳機能障害が考えられます。注意障害や理解力低下、脱抑制や易怒性を客観的に評価するには、全般的知能とその内訳を測るWAIS-IIIと、前頭葉機能を簡便に評価するFABが有用です。人格傾向を調べる投影法や質問紙は本例の評価の主眼になりません。