医師国家試験 第112回 問179
84歳の女性。ふらつきがあり、頻回に転倒するため夫と来院した。 現病歴 : 2か月前に腰椎圧迫骨折を起こし、自宅近くの病院に入院した。入院後 は腰痛のためベッド上で安静にしていた。徐々に痛みは改善し、1か月後、自宅に 退院したが、退院後にふらつきを自覚し、転倒するようになった。ふらつきは特に 朝方に強い。難聴と耳鳴りは自覚していない。入院した病院で頭部を含めた精査を 受けたが原因が明らかでなく、症状が改善しないため受診した。 既往歴 : 68歳時から糖尿病と高血圧症、75歳時から逆流性食道炎と不眠症。 生活歴 : 夫と2人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。入院までは夫と飲食業をして いた。リハビリテーションは週1回続けている。 家族歴 : 父親は胃癌で死亡。母親は肺炎で死亡。弟は糖尿病で治療中。 現 症 : 意識は清明。身長150cm、体重36kg(2か月前は40kg)。体温36.0 °C。脈拍72/分、整。血圧146/78mmHg(立位3分後138/74mmHg)。呼吸数 16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに 異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下›に浮腫を認めな い。脳神経に異常を認めない。眼振を認めない。四肢に明らかな麻痺を認めない。 筋強剛を認めない。握力14kg(基準18以上)。指鼻試験陰性。Romberg徴候陰 性。明らかな歩行障害を認めない。通常歩行速度0.7m/秒(基準0.8以上)。手指 振戦を認めない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見 : 尿所見:蛋白(−)、糖1+、ケトン体(−)。血液所見:赤血球403 万、Hb12.1g/dL、Ht38%、白血球7,400。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、 アルブミン3.3g/dL、AST22U/L、ALT14U/L、LD278U/L(基準176〜353)、 CK90U/L(基準30〜140)、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖 128mg/dL、HbA1c7.4%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール186mg/dL、トリ グリセリド100mg/dL、HDLコレステロール50mg/dL、Na135mEq/L、K4.2 mEq/L、Cl97mEq/L。心電図に異常を認めない。高齢者総合機能評価〈CGA〉: 基本的日常生活動作(Barthel指数)100点(100点満点)、手段的日常生活動作 (IADLスケール)8点(8点満点)、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉27点 (30点満点)、Geriatric Depression Scale2点(基準5点以下)。 患者のふらつきと易転倒性の原因として最も考えられるのはどれか。